医療法人の社員と理事

 

医療法人には社員という立場と、理事という立場があることはご存知かと思います。もっとも、社員と理事の違いについては、あまり、理解されていない方が多く、医療法人の社員や理事の方から御質問を受けることも少なくありません。そこで、本コラムでは、医療法人の社員と理事の違いについて、簡単に解説してみます。

 

 

はじめに

現在、医療法人の大部分は、出資持分有りの医療法人ですが、平成19年に施行された第五次医療法改正において、出資持ち分のある医療法人の新設ができなくなりましたので、今後、新設される医療法人は、出資持ち分のない医療法人となります。この点については、別途、ご説明をしたいと思いますが、本コラムでは、未だ、大多数を占める出資持ち分有りの医療法人を前提に話を進めます。

 

社員とは

社員とは、医療法人を構成するもので、株式会社の株主に相当するもので、社員総会を通じ、医療法人の重要な議決事項について意思決定をします。多くの社員は、株式会社の株主同様に、社員になるにあたり出資をしていますが、株式会社の株主とは違い、社員総会での議決権は、出資額の多寡に関わらず、1人1票です。

 

理事とは

社員総会で選出され社員総会から委任を受けて、医療法人の業務運営を行うもので、株式会社の取締役に当たります。通常は、理事会で協議をし、業務の運営を行いますが、代表権は、理事長だけが持ち、理事長が医療法人を代表します。

 

社員と理事の関係

上記の様に、あくまで、理事は社員総会により選任され、社員総会から委任を受けた範囲で業務運営を行うに過ぎません。株式会社では株主が重要事項の決定権限を持つように、医療法人では、社員たる地位が重要です。

多くの医療法人の定款では、理事は社員の中から選任すると規定されていますので、社員たる地位を失う時は、原則として理事も退任することになりますが、逆に、理事の地位を失ったとしても、社員の地位を失うということにはなりません。

 

 

以上、医療法人の社員と理事について簡単に説明をしましたが、個別のご相談等は、弊事務所までご遠慮なくご連絡ください。医療機関様のご相談については、医師兼弁護士の代表弁護士が、全国対応をしています。

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