自己破産は、自分の収入や財産で債務を支払うことができなくなった場合、自分の持っている全財産をお金に換えて、各債権者に債権額に応じて分配、清算して、破綻した生活を立て直すことを目的としている制度です。
破産事件には、破産管財人が選任され、この破産管財人が破産者の財産を調査・管理し、これをお金に換えて債権者全員に配当する手続きと、破産者の財産が乏しく配当を検討する余地もなく、破産手続き開始と同時に破産手手続きを終了する同時廃止手続きがあります。

さて、破産するときに不動産をもっている場合、その不動産が資産性を有するのかそれともオーバーローンの状況にあるのかが問題となります。
大阪地方裁判所では下記基準のどちらかを満たす場合、その破産事件を同時廃止として扱うことができます。

 

1 担保設定不動産の被担保債権の残額が固定資産税評価額の2倍を超える場合
2 上記の割合が1.5倍を超えて2倍までの場合は、
  被担保債権の残額が査定書の評価額の1.5倍を超える場合

 

たとえば、2000万円のローンが残っていて固定資産税評価額が500万円の場合は、
被担保債権額の残額(2000万円) > 固定資産税評価額の2倍(1000万円)
なので、1の要件を満たすため、同時廃止で扱うことができます。

また、2000万円のローンが残っていて固定資産税評価額が1250万円のときは、
 被担保債権額の残額(2000万円) < 固定資産税評価額の2倍(2500万円)
なので、1の要件は満たしません。
そこで、2の要件を検討すると、
 被担保債権額の残額(2000万円) = 固定資産税評価額の1.6倍
ですので、査定書を確認します。たとえばその査定額が1300万円だとすると、
 被担保債権額の残額(2000万円) > 査定書の評価額の1.5倍(1950万円)
なので、2の要件を満たすため、同時廃止で扱うことができます。

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